おはようございます。
弁理士の渡部です。
TPPの大筋合意を受け、商標権の侵害行為に対し損害賠償額を引き上げるよう、商標法を改正する方針となりました。
これまでは、商標権の侵害行為によって受けた損害賠償額を原告が立証する必要があり、立証できない場合は、損害賠償額が大幅に引き下げられてしまっていました。
今回、TPPへの加盟により商標権の侵害行為に対し損害賠償額が引き上げられることになりましたが、ポイントは、大きく次の2点です。
(1)商標権侵害の事実を立証できれば、損害額を立証しなくても、一定の賠償を求められること
(2)損害額に一定の賠償金を上積みできるようにすること
我が国の商標法では、民法の損害賠償の規定に基づいて損害賠償額を認定するため、実際の損害額を超えて請求することは制度としてできないことになっていましたが、今回の改正では、実際の損害額を超えた損害賠償額を請求できるようになる可能性があります。
参考までに、アメリカでは、商標権侵害に対し、500$以上100,000$以下の損害賠償額を請求でき、悪質な場合は、1,000,000$以下の損害賠償額を請求できるようになっています。
今回の改正が実現すれば、商標登録を受けずに名前を使って事業を行うリスクが飛躍的に高まるということがいえます。
商標登録の必要性が益々高まるでしょう。
参考:http://www.yomiuri.co.jp/economy/20151015-OYT1T50159.html
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