集客や販促のためにホームページを運営しようとすると、自社の名称や商品名に近いドメインを既に取得されている場合があります。
どうすれば費用をかけずに節約して既存のドメインを取得することができるでしょうか?
考えてみましょう。
将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。
目次
自社の名称や商品名に近いドメインが他社に取られていた!
ホームページを運営していらっしゃる方で、他社が持っているドメインをほしいと思った経験はありませんか。
例えば、自社の名称や商品名に近いドメインが、他社に既に取得されていることが分かったときなどです。
当事務所の例を元にお話しましょう。
以前の話ですが、当事務所の名称に近いドメインがあり、調べて見たところ、他社が取得していたものの、そのドメインは使われていませんでした。
そこで、そのドメインを所有する企業に対し、ドメインを有償で譲っていただけないかと交渉をすることを検討しました。
自社と似たドメインを取得されていたときに弁理士の私が考えたこと
でも、ちょっと待てよ、と。
交渉の結果、譲ってもらえれば御の字だが、もし譲ってもらえなかったらどうするのか。
「ほしい」という気持ちが高まって、高額での買い取りを提示してしまうかもしれない。
その場合は、一体いくらまで出すのか。
相手も色々と気持ちが揺れるだろうから、冷静な今のうちに、そこまできちんと検討した上で交渉を開始しようと考えたわけです。
そこでまず、ドメイン取得に対する当事務所の要望を整理しました。
当事務所としては、当事務所のサービスにそのドメインを使いたいから「ほしい」という要望がありました。
次に、譲ってもらえない場合のデメリットはないかどうかも考えてみました。
もしそのドメインが別の他社に転売され、他社に使用されることで、当事務所のサービスと混同することはないだろうか。
しかし、仮に他社がそのドメインを使ったとしても、ドメインの使用だけでは当事務所のサービスと混同することはないと考えました。
実は当事務所は、当事務所の名称について商標登録を受けています。
そのドメインを使用したWebサイトにおいて、当事務所の名称に近い名称で弁理士業のサービスを提供するようなところまで近づいてきた場合は、商標登録によって使用中止を求めることができます。
したがって、そのドメイン自体を「守りたい」という要望までは特にないという結論になりました。
交渉に入った後でドメイン取得者が取った驚きの行動
このように要望を整理した上で、そのドメインを所有する企業に交渉をしてみることにしました。
残念なことに、結果として譲っていたくことはできなかったのですが、そのドメインを使っていないのだから、次の更新時期で手放すのではないかと期待し、次の機会を待つことにしました。
ところが、更新時期に改めて調べて見たところ、そのドメインが更新されていた上に、ドメイン販売サイトを通じて売りに出されていました。
その価格は、なんと42万円!
当事務所の要望は、あくまで「ほしい」という要望だけですので、この話は取得コストが効果を上回らないと判断し、ここで終わりとしました。
本当に欲しいドメインは交渉せず更新期間が来るまで待つのも一手
ドメインが「欲しいから譲って」といわれれば、ドメインの既存取得者には高く売りたくなるという心理が発生します。
したがって、既存のドメイン取得者がドメインを使っていない場合は、交渉せずに更新時期まで待つというのも一つの方法です。
ドメインがいつまで有効なのかは、例えば、jpドメインであればこちらのサイトで調べることができます。
参考:WHOISサービス
他社が持っているドメインをほしいと思った場合、まず、自社の要望をきちんと整理し、取得するための戦略を立てて行動に移すことが重要です。
コストオーバーな価格で買ってしまったり、法的措置をとったりとられたりしてて争いに巻き込まれないように気を付けましょう。