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蚊を撃退するスプレーで特許権侵害訴訟!「キンチョー」がアース製薬を提訴

蚊が嫌いな人にとって、夏の必需品といえば、蚊を撃退するスプレーですよね。
しかし、そのスプレーには、意外な裏側がありました。
「キンチョー」ブランドで知られる「大日本除虫菊」が、同じく蚊を撃退するスプレーを販売する「アース製薬」に対して、特許権侵害訴訟を起こしたのです。

この記事を書いた人
弁理士 渡部仁

将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。

なぜ特許権侵害訴訟になったのか?

大日本除虫菊は、自社が持つ「蚊類防除用エアゾールの発明についての特許」を、アース製薬の「おすだけノーマットスプレータイプ」(120日分)と「おすだけノーマットロングスプレータイプ」(200日分)が侵害していると主張しています(ニュース)。

対象製品と特許製品 引用:Yahoo!ニュース Yahoo!JAPAN

この特許権は、蚊の習性に着目したものです。
蚊は、飛んでいる時間よりも、壁などに止まっている時間の方が長いということを、大日本除虫菊は研究開発で発見しました。

そこで、蚊に効果的に作用するスプレーを開発するために、噴射力や噴射容量などを調整し、室内空間の露出部に付着させることで、蚊に対して優れた防除効果を持つ「蚊類防除用エアゾール」の発明をしました。
この発明は、大日本除虫菊の「蚊がいなくなるスプレーシリーズ」の基本となるもので、特許第7026270号として登録されています。

前哨戦は特許異議申立か?

特許庁で特許が認められると、この特許が有効かどうかについて第三者に意見を求める機会が与えられます。
特許異議申立という制度です。
この特許については、第三者から異議申立が行われました。
J-PlatPatで経過情報を見てみると、「中谷 美弥子」という方が申立人になっています。
誰なのでしょうね?

特許異議申立は、誰でも行うことができます。
利害関係などは必要がありません。

このため、競合他社が異議申立を行いたい場合、企業の実名で異議申立を行うと対立関係が際立ってしまうため、無関係のような第三者を立てて、その人に異議申立を行わせるということがしばし行われます。
「中谷 美弥子」という方がそういう方であり、背景に別の企業がいるのかもしれませんね。
憶測なので実際のところは分かりませんが。

さて、この特許異議申立においては、中谷さんの申立が退けられ、特許が有効であると認められました。
特許の権利者である大日本除虫菊が防衛に成功したわけです。

侵害訴訟の結果はどうなるのか?

大日本除虫菊は、アース製薬の「おすだけノーマットスプレータイプ」などの製造や販売の差し止めを求めて、東京地裁に提訴しました。

この訴訟の結果は、まだ分かりませんが、両社の間で争われることになりそうです。

大日本除虫菊は、「弊社の知的財産権が会社の重要な資産であることを認識し、知的財産権の保護に努めるとともに、第三者による侵害行為に対し厳正に対処してまいります」とコメントしています。

分割出願で特許を大量生産

この特許は、最初の特許から7件もの分割が行われ、このうち4件が特許として成立しています。
残り3件は特許庁の審査に継続中です。
ここまで分割出願をしていることからみても、この特許は、大日本除虫菊にとって重要な位置づけであることが分かります。
仮に今回の訴訟が不発に終わったとしても、第2、第3の矢がアース製薬を狙っているといえます。

分割出願の系図 引用:J-PlatPat

アース製薬も研究開発で対抗

アース製薬も負けてばかりいません。
アース製薬は花王とタイアップし、2024年7月からタイで、化学合成殺虫成分を使わずに蚊を駆除できる新スプレー商品「アース モスシューター」を発売します。

この商品は、花王の独自技術で、界面活性剤の水溶液を吹き付け、蚊の羽根をぬらし、気門と呼ばれる体の表面の穴をふさぐことで動けなくします。
飛んでいる蚊や家具の隙間などに潜んでいる蚊にも効果があり、殺虫成分を含まないため、子供のいる場所でも安心して使えます。

まとめ

蚊を撃退するスプレーには、意外な裏側がありました。
大日本除虫菊とアース製薬が、特許権侵害訴訟を起こしているのです。
この訴訟の結果は、まだ分かりませんが、両社の間で争われることになりそうです。
蚊に悩まされない快適な夏を過ごしましょう!

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