漫画家 鳥山明先生の死去は日本国内だけでなく、世界中に大きな衝撃を与えました。
彼の作品は世代を超えて愛され続けており、その中でも特にドラゴンボールの人気は絶大です。
他人が著作権を有する著作物について商標登録を取得しようとした場合、どのような点に注意すべきなのでしょうか。
本記事では、ドラゴンボールのキャラクターを取り上げつつ、商標権と著作権との関係について解説します。
将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。
目次
著作権と商標権の基本的な違いとは?
まずは、著作権と商標権の基本を簡単におさらいしましょう。
著作権は、文学、音楽、美術などの創作物に自動的に発生する権利です。
作品が独創的なものであれば、特別な手続を取ることなく権利が認められます。
一方、商標権は、商品やサービスを区別するためのマークやロゴ、名称などに関する権利であり、これには特許庁への登録が必要です。
ドラゴンボールキャラクターをめぐる著作権の問題
ドラゴンボールのキャラクターは、その独創性と広範な認知度から、数多くの商品やプロモーションに使用されています。
しかし、これらのキャラクターの著作権は原作者である鳥山明先生の遺族又は関連企業が所有しています。
そうしたキャラクターを商標として使用しようと考えた場合、著作権の侵害が問題となることがあります。
商標法第29条が定める著作権との抵触について
商標法第29条では、他人の著作権と抵触するおそれがある商標の使用について規制しています。
商標権者であっても、著作権に抵触する態様での使用は認められません。
例えば、あなたが商標登録を受けたとしても、その登録商標がドラゴンボールのキャラクターと同一又は類似しており、著作権を侵害する態様である場合、その使用は制限されることになります。
鳥山明先生の遺族又は関連企業から許諾を受けないと使用できないということです。
実際のビジネスにおける注意点
ビジネスにおいては、著作権を有する著作物を無許可で使用しないことが大前提です。
もし商品化や宣伝活動で使用したい場合は、必ず著作権者との間で使用許諾契約を結ぶ必要があります。
特に、ドラゴンボールのように著名な著作物を使用する場合は、その認知度に比例してリスクも高くなるため、慎重な対応が求められます。
また、意図せず著作権を侵害してしまった場合のリスクヘッジとして、弁理士と相談しながら進めることが賢明です。
まとめ
著作物を取り扱う際は、商標権と著作権の両方の観点から慎重に検討する必要があります。
特に商標法第29条によって、著作権を侵害するおそれのある商標の使用が制限される点を念頭に置き、事前のリサーチと権利者との協議を行うことが肝心です。
経営者としては、こうした法的リスクを事前に把握し、創造的でありながら法的な問題を回避するための知識と対策を身につけることがビジネス成功の鍵となるでしょう。