世の中には、名声を持つ有名人の名前が様々な形で受け継がれ、多大な影響を及ぼします。
そんな中、漫画家 鳥山明先生の訃報は世界中に衝撃を与え、彼の遺した作品や人間性に対する賛辞がSNSを通じて広がりました。
しかし、そんな時に、予期せぬ問題が表面化しました。
中国での商標登録の動きです。
私たちの日常に根ざした商標法がどのように関わってくるのか、本記事で深く掘り下げてみます。
将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。
有名人の訃報と商標登録の関係
鳥山明先生の逝去を受けて、多くのファンは彼の創作活動やその功績に対して敬意を表しました。
同時に、商標登録の問題が浮上し、彼の名前が中国で商標登録される動きが見られるようになりました。
これは一体どういうことなのでしょうか?
商標登録がされると、その名前は商品や広告に利用されたり、他の人々による使用が制限されたりします。
有名人の名前が商標登録されることは、その人のイメージの継続において重大な意味を持つかもしれません。
他人の名前の保護
日本の商標法第4条1項8号では、他人の名前(氏名)を含む商標の登録が禁止されています。
これは、個人の人格権を保護するためのものです。
この規定により、他人の名前を無断で商標登録しようとする行為は抑止されることになります。
しかし、この規定は、残念ながら、亡くなった有名人の名前については対象となりません。
鳥山明先生の作者名についての出願は、この規定で排除できないということです。
亡くなった有名人の名前の保護
では、亡くなった有名人の名前は、商標登録を受けることができるのでしょうか?
商標法第4条1項7号では、歴史上の人物名を含む商標の登録が禁止されています。
この規定によって、社会的に著名な人物、例えば歴史的偉人や文化を代表する人物などの名前が乱用されることを防いでいます。
これは、歴史的価値を尊重するために設けられたものです。
鳥山明先生の作者名については、この規定により登録を受けられないと考えられます。
まとめ
鳥山明先生の作者名が中国で商標登録された事件は、商標法がどのように個人の名前を保護しているかを浮き彫りにしました。
日本の商標法では、他人の名前や亡くなった有名人の名前の登録を禁じています。
これらの規定は、人格権や歴史的価値を守るために不可欠であり、私たちが有名人の名前を扱う際には十分な注意が求められるでしょう。