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AI発明、「設備データを入力する」だけでは分からない――取得から入力までを見る

「AIを使う」を発明の構造にする[2/4]

「設備のセンサデータをAIに入力して、異常を予測します」

前回は、こうしたAI技術を見るときに、入力から利用までの流れをつなげてみました。

では、その最初にある「入力」とは、具体的に何でしょうか。

「設備データです」
「センサデータです」

と聞けば、何を使っているかは分かったように見えます。

でも、発明を整理する場面では、私はもう少し先まで確認します。

現実世界で取得したデータと、AIが実際に受け取る入力は、必ずしも同じ姿をしているとは限らないからです。

この記事を書いた人
弁理士 渡部仁

将星国際特許事務所、所長。AI、IT、ソフトウェア、ビジネスモデル、ネットワーク分野の特許を専門とする。データベーススペシャリスト等の資格を持ち、技術内容の整理から特許出願・権利化まで幅広く支援している。講演活動も行っている。

「設備データ」という名前では、まだ幅が広い

例えば、ある設備について、温度と圧力を測定しているとします。

このとき、

「温度データと圧力データをAIへ入力します」

と説明することはできます。

ただ、それだけでは、AIが実際に何を受け取っているのかまでは分かりません。

現在の温度と圧力を一回ずつ入力しているのか。

直近10分間の値を時系列で入力しているのか。

複数箇所に設置したセンサの値を組み合わせているのか。

取得した値そのものではなく、何らかの変換をした後の情報を使っているのか。

どれも「設備のセンサデータを入力する」という説明には収まります。

しかし、AIへ渡される情報の姿はかなり違います。

取得したデータが、そのまま入力になるとは限らない

設備から最初に取得したデータを、そのままAIへ渡す場合もあります。

一方で、その間に処理が入ることもあります。

例えば、一定期間のデータを切り出したり、値の形式をそろえたり、信号を変換したりする。

こうしたAIへの入力前の処理は、一般に「前処理(preprocessing)」と呼ばれることがあります。

ここで見たいのは、前処理があるかないか自体ではありません。

前処理が多い方が技術的だ、ということでもありません。

私が確認したいのは、現実世界で取得した情報が、どのような経路を通ってAIへの入力になっているかです。

取得した値をそのまま渡しているのか。それとも、取得した値から別の情報を作って渡しているのか。

その違いが分かると、「設備データ」という一言では見えなかった技術の中身が少しずつ現れてきます。

入力を具体化すると、次に聞く場所が変わる

例えば、直近10分間の時系列データを使っていることが分かったとします。

すると次に、

なぜ現在値だけではなく、10分間を見るのか。

という疑問が出てきます。

複数のセンサを組み合わせているのであれば、

なぜその組合せなのか。

取得値を変換しているのであれば、

なぜその変換をしてからAIへ渡すのか。

という方向へ話を進められます。

もちろん、10分間の時系列を使うことや、複数センサを組み合わせること、前処理を行うこと自体が、そのまま発明の特徴になるという意味ではありません。

そこは、技術全体を見ながら別に検討する必要があります。

私が入力を具体化するのは、確認項目を埋めるためではありません。

その技術について、次にどこを詳しく聞くべきかを見つけるためです。

「何を測ったか」から「何をAIに渡したか」まで見る

設備の異常予測であれば、「センサデータ」という言葉だけで止めずに、

どの設備の何を測り、
どの時点や期間の情報を使い、
必要ならどのような処理を経て、
最終的に何をAIへ渡しているのか。

そこまでたどってみます。

AIへの入力は、センサ値だけとは限りません。画像、履歴、テキストなど、さまざまな情報が使われますし、取得したデータを加工した情報が入力になる場合もあります。

大切なのは、「設備データ」「ユーザーデータ」「過去データ」といった名前だけで終わらせず、そのシステムでAIが実際に何を受け取っているのかを見ることです。

もちろん、取得時点や期間、変換方法などを、どんな技術でもすべて細かく確認しなければならないわけではありません。

どこまで見る必要があるかは、その技術によって違います。

ただ、「設備データを使っています」という説明から一歩進んで、AIへ入る時点ではどんな情報になっているのかまで追うと、次に見るべき場所が変わってきます。

本シリーズのブログ記事です。こちらもよろしければご参照ください。
・「AIで予測する」では、まだ発明の姿が見えない――入力から利用までを追う

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