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大河ドラマと商標ビジネス

こんにちは、弁理士の渡部です。
本日は、大河ドラマと商標ビジネスについてお話をします。

商標登録のお金を生み出す活用

商標登録は模倣品を排除するプロテクトの効力が本質ですが、世の中には、商標登録を活用してお金を生み出す商標ビジネスを行っている企業もあります。
前回の動画で取り上げた大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。これも商標登録されています。
権利者は、NHKエンタープライズ(以下、NEP)。NHKの関連会社です。

実は、NEPという会社。大河ドラマや連続テレビ小説の名称について商標登録を取得し、その縁のある地域の経済を盛り上げる目的で、地元企業に対し商標登録のライセンスを設定し、ライセンス収入を得るというビジネスモデルを持っています。

連続テレビ小説の登録例

連続テレビ小説の例を見ていきましょう。
3つご紹介します。

1つ目は、宮城県の気仙沼湾沖の島を舞台とした連続テレビ小説「おかえりモネ」です。
NEPは、2020年9月に「おかえりモネ」の名称について商標登録を取得しています(第6291059号)。

2つ目は、沖縄を舞台とした連続テレビ小説で「ちむどんどん」です。
NEPは、2021年5月に「ちむどんどん」の名称について商標登録を取得しています(第6390242号)。

3つ目は、長崎県の五島列島を舞台とした連続テレビ小説で「舞いあがれ!」です。
NEPは、2021年8月に「舞いあがれ!」の名称について商標出願をしています(商願2021-106420)。
こちらは最新作なのでまだ商標登録を受けていません。

放映のずっと前に誰よりも早く商標出願

これらに共通して言えることは2つあります。
1つ目は、放映のずっと前に商標出願をしていることです。
「おかえりモネ」は1年1ヶ月前、「ちむどんどん」は1年4ヶ月前、「舞いあがれ!」も約1年前に商標出願されています。
商標登録は早い者勝ちの制度で、NHKが企画しても最初に商標出願をした企業に商標登録が与えられます。
ですから、連続テレビ小説を放映することを予告した後だったり、ましてや連続テレビ小説の放映が開始された後となってしまっては、他社が先に商標出願をしてしまい、他社が商標登録を取得してしまうなんてこともあります。

普通では考えられない広い範囲をカバー

2つ目は、普通では考えられないとても広い範囲に渡って商標登録を取得していることです。
区分の数で見ていくと、「ちむどんどん」は15区分、「おかえりモネ」と「舞いあがれ!」はそれぞれ18区分にも渡って商標登録の保護範囲が設定されています。

商標登録の保護範囲は、化粧品、せっけん類、テレビゲーム、宝石類、文房具、鞄、クッション、台所用品、被服、靴、おもちゃ、飲食料品…と、なんでもござれのラインナップです。
ですが、NEP自身がこれら商品を販売することを計画しているわけではありません。
理由は後で説明します。

ちなみに、商標登録は、広い範囲で取得しようとするとお金がどんどんかかります。
どれぐらいお金がかかるかイメージできますか?
特許庁に支払う費用だけで見てみると、「ちむどんどん」は55万円、「おかえりモネ」と「舞いあがれ!」はそれぞれ66万円にもなるから驚きです。

大河ドラマの気合いの入れよう

では、大河ドラマについてもそうなっているのか確かめてみましょう。

直近の3作品「鎌倉殿の13人」「青天を衝け」「麒麟がくる」の名称についてはいずれも商標登録されています(第6282948号第6260354号第6138739号第6244102号)。
放映開始のどれぐらい前に商標出願をしているかというと、「鎌倉殿の13人」が2年前、「青天を衝け」が1年5ヶ月前、「麒麟がくる」が1年8ヶ月前です。
商標登録の保護範囲については、「鎌倉殿の13人」が20区分、「青天を衝け」と「麒麟がくる」がそれぞれ19区分です。
連続テレビ小説よりも気合いが入っています。

地域経済活性とコンテンツ作りが続く循環

大河ドラマや連続テレビ小説の舞台ともなれば、その地域に大きな経済効果があり、商標登録を活用することでその経済効果を最大化することができます。
例えば「鎌倉殿の13人」の放映では260億円の経済効果が見込まれています(日本銀行試算)。
この点、NEPは、縁の地にある地元企業に対し、大河ドラマや連続テレビ小説の名称について商標登録のライセンスを設定し、ドラマの流行に乗ってドラマの名称を使った商品をたくさん売って地元企業に儲けてもらうことを企画しています。
たくさんの種類の商品についてライセンスできるように広い範囲に渡って商標登録が取得されているのです。

そして、NEPは、地元企業が儲けたその一部をライセンス収入として得ています。
ライセンス収入を次回のコンテンツ制作費などに充てていくわけです。
NEPのビジネスモデルは、地域経済が盛り上がり、よいコンテンツも作り続けられるという循環が出来上がっています。

まとめ

商標登録は、模倣品を排除するプロテクトの効力がクローズアップされがちですが、NEPのように商標を他社に使わせてお金を生み出す活用も認められています。
NEPは、商標登録を上手く活用しお金を生み出すビジネスをしているということです。

以下、本記事のまとめです。
・商標登録には、商標を他社に使わせてお金を生み出す活用も認められている。
・商標ビジネスは、大河ドラマなど価値あるコンテンツが背景にあって初めて成立する。
・自社の利益でだけでなく、ライセンスを受ける他社にも利益が生じるようにビジネスモデルを組み立てることが商標ビジネスの成立の要である。

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