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新年のご挨拶と兎年にちなんだ切り餅事件

こんにちは、弁理士の渡部です。
皆さま、あけましておめでとうございます。

本年は豊穣の年

今年は兎年。
兎は繁殖力が強いことから豊穣を表す動物と扱われてきました。

兎年でお正月、といえば「お餅」ですが、お餅の特許で、巨額のお金が動いた、有名な事件があります。
通称「サトウの切り餅事件」!

本日は、新年のご挨拶がてら、「サトウの切り餅事件」をご紹介します。

サトウの切り餅事件は、越後製菓の特許を侵害したとして越後製菓がサトウ食品を訴えた事件です。
越後製菓は、切り餅の特許を持っていました。
「切り餅に特許なんてあるの?」「そもそも切り餅って昔からあるものだし」と驚きかもしれません。
しかし、皆さまの食卓にありふれた切り餅にも、新しい工夫があれば特許が認められるのです。

ただスリットを入れただけの簡単なアイデア

では、越後製菓の特許はどういうものでしょうか。
越後製菓の特許は、切り餅の側面にスリットを入れたというとても簡単なものです。
お餅を焼いたとき、ぷくーっと膨らみますよね。
変に膨らんで、形が崩れてしまったことってないですか。
越後製菓の特許では、切り餅の側面にスリットを入れることで、全体的に綺麗に膨らむようになっています。
こんな簡単な工夫でも特許が認められので、事業の中で行う様々な工夫には特許のネタがいっぱいです。

切り餅業界の勢力図を揺るがすほどの破壊力

さて、この話、おもしろいのは切り餅業界の勢力図にあります。
切り餅業界では、サトウ食品、越後製菓、きむら食品という3社が勢力を競い合っていました。
業界第2位の越後製菓は、主位をとるため、サトウ食品を特許侵害で訴えました。
特許侵害で2回もサトウ食品を訴え、大ダメージを与えます。
さらにそれで終わることなく、業界第3位のきむら食品にも同じ特許を侵害しているとして訴え出ます。
業界第3位にもダメージを与え、自社との開きを大きくするためです。
結果、きむら食品は、訴訟の後、民事再生法の適用を申請することになります。

越後製菓の特許は、切り餅業界の勢力図を揺るがすほどの破壊力を持っていました。

まとめ

アイディアは、何もないところから大きな価値を生み出し、また、シンプルな発想こそ世界を変える力を持っているものです。

令和5年は、豊穣のシンボルである兎にちなみ、新しい発想がどんどん生まれるような、活況の年にしていきたいですね。

以下、本記事のまとめです。
・食卓にありふれた切り餅にも、新しい工夫があれば特許が認められる。
・事業の中で行う様々な工夫には特許のネタがいっぱいである。
・特許とは、自社の強みを活かし価値に変えていく、力強い権利である。

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