おはようございます。
弁理士の渡部です。
YouTubeでは、毎分72時間分の動画がアップロードされています。
1日に換算すれば、103,680時間分の動画となるというのだから驚きです。
アップロードされる動画のなかには、他人の著作権を侵害しているものも多く含まれています。
この場合、アップロードしたユーザが著作権侵害の責任を負うことになるのは当然として、同時に、YouTubeも、著作権侵害の動画を削除するなどの適切な措置を行わなければ著作権侵害の責任を免れることができない場合もあります。
そこで、YouTubeが、アップロードされる動画が他人の著作権を侵害していないかどうかを事前に審査するとした場合、どれぐらいのコストがかかるのでしょうか。
興味深い試算が示されています。
審査官として、裁判官等の専門家を起用するものと想定します。
アップロード数や専門家の活動可能な時間等から必要な専門家の人数を求め、彼等が毎分72時間分の動画を審査した場合、専門家の平均給与に基づいて算出される審査コストは、なんと約370億ドルという試算になります。
これは、YouTubeの2011年の収益にほぼ匹敵します。
結果として、完全な事前審査を実行することをYouTubeに課すことは、YouTubeの存続を否定することになりかねません。
だからといって、著作権侵害を野放しにしてよいという話ではないので、その両方のバランスを保ちながらYouTubeが運営し続けるためには、著作権法のあり方にまで踏み込んだ深い議論が必要となるでしょう。