おはようございます。
弁理士の渡部です。
カナダにも、パテントトロールがいるそうです。
パテントトロールとは、特許権を第三者から購入し、自らは特許製品を製造・販売したりはせず、特許侵害の疑いのある者に対して、特許権を行使して巨額の賠償金やライセンス料を得ようとする者といわれています。
驚くことに、カナダでは、特許事務所がパテントトールをやっているというのです。
この特許事務所は、2011年にノキアから無線関連の特許及び特許出願を約2000件取得し、契約の一部としてノキア等と特許収益を分配することに同意しています。
日本において特許事務所というと、クライアントの特許出願を代理するなどの守備的な業務が中心です。
それは、我が国において、弁理士などの士業と呼ばれる者は、クライアントの権益を保護する立場として位置づけられているからです。
こうした点で、日本の特許事務所が、パテントトロールのように他人に権利行使をする攻撃的な業務を直ちに行うことは周囲の強い反発が予想されます。
しかし、価値観が多様化し規制緩和が進む現代において、我が国が世界でも有数の発明大国であること、欧米の影響を受けやすいことなどを考えると、将来的にもまったくないとは言い切れません。
仮にそういう時代が到来したとすれば、弁理士の社会的役割は今とはまったく様変わりしていることでしょう。
競争を支援する立場から、競争の主体へと変わっていくのです。