おはようございます。
弁理士の渡部です。
森永のブランドの一つに、エンゼルマークと「天使」があります。
森永は、創業当時(1905年)からエンゼルマークを採用し、製菓業界において天使のイメージとともに森永のブランドを作り上げてきています。
名称の由来は、創業時の主力商品のマシュマロが英語で「エンゼルフード」と呼ばれていたことが伝えられています。
さて、昨日は、グリコのブランド防衛についてお話しましたが、これは何もグリコだけのお話ではありません。
森永もまたグリコと同様に「天使」ブランドを守るため、商標の側面においていくつもの戦いを繰り広げています。
「天使」と似ている商標が間違って登録となる場合があり、これを放置してしまうと、「天使」ブランドが毀損されてしまうからです。
「天使」ブランドを巡って、次のような争いがありました。
★無効2003-35187(「天使達のみるふぃ~ゆ」vs「天使」)
「天使達のみるふぃ~ゆ」という商標が登録となりました。
これに対し、森永は、「天使」と似ているなどの理由で商標登録の無効を申し立てたところ、その申立が認められ、「天使達のみるふぃ~ゆ」の商標権を消滅させることができました。
★無効2008-890069(「天使のスィーツ」vs「エンゼルスィーツ」)
「天使のスィーツ」という商標が登録となりました。
これに対し、森永は、「エンゼルスィーツ」と似ているなどの理由で商標登録の無効を申し立てたところ、その申立が認められ、「天使のスィーツ」の商標権を消滅させることができました。
★無効2009-890110(「天使のプリン」vs「天使」)
「天使のプリン」という商標が登録となりました。
これに対し、森永は、「天使」と似ているなどの理由で商標登録の無効を申し立てたところ、その申立が認められ、「天使のプリン」の商標権を消滅させることができました。
★無効2010-890032(「天使のチョコリング」vs「天使」)
「天使のチョコリング」という商標が登録となりました。
これに対し、森永は、「天使」と似ているなどの理由で商標登録の無効を申し立てたところ、その申立が認められ、「天使のチョコリング」の商標権を消滅させることができました。
★無効2011-890073(「天使の塩」vs「てんし」)
「天使の塩」という商標が登録となりました。
これに対し、森永は、「天使」と似ているなどの理由で商標登録の無効を申し立てたところ、その申立は認められず、「天使の塩」の商標権を消滅させることはできませんでした。
商標はとって終わりではないのです。
このような各社の防衛戦を見ていると、むしろ、とってからが始まりといえます。
上記のように誤って登録されることもあり、ブランドが大きくなればなるほど、そのブランドを守るためには、大企業であっても絶え間ない努力が必要となります。
天使はお菓子のイメージに合い、商標として採用したくなりそうですが、菓子類について「天使」の語を含む商標を出願する場合は、森永のブランドとの関係がありますからどうぞ慎重に。