審査請求料の減免制度とは、特許出願の審査を受けるために必要な特許庁への支払いを軽減、免除する制度です。
中小企業にとっては、このような支援策が事業の発展に大きな影響を与えることも少なくありません。
しかし、最近この制度が見直されたため、中小企業にとってどのような影響があるのか、理解を深めることが必要となっています。
本記事では、減免制度の見直しの背景や概要、そして中小企業にどのような影響をもたらす可能性があるのかを解説します。
将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。
従来の制度
まず、現行の減免制度についておさらいしましょう。
これは、特定の要件を満たす者、例えば資力が乏しい中小企業などは、審査請求料の一部を免除されたり、納付が猶予されるといった支援を受けられるものです。
これにより、資金的な制約に悩む企業が発明を世に問う機会を確保することができました。
改正の必要性
しかしながら、この制度を利用する企業の中には、制度の趣旨に合わない形で利用している事例が見受けられたとのこと。
大企業と同じくらい、又はそれ以上の減免申請をする企業が増えてしまったのです。
減免に必要な財源は、出願人の手数料によって支えられており、過度な利用は公平性を損ねる可能性があるため、こうした状況の改善が求められています。
制度利用の実態を踏まえた見直し
改正の大きなポイントは、減免制度の利用に一部の条件を設け、制度の乱用を防ぐことです。
具体的には、減免の適用件数に制限を加えることで、必要な支援を必要な企業に確実に届けることを目指します。
上限件数は、1年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)あたり180件とされています。
また、資力の乏しさや発明活動の潜在能力を詳細に考慮し、それぞれの状況に応じた適切な軽減率が設定されることになります。
この点が、より細やかで的確な支援につながると期待されています。
新たな減免制度の詳細については特許庁のホームページをご覧ください。
審査請求料の減免制度の改正(令和6年4月1日施行)に関するお知らせ
まとめ
今回の法改正は、2024年4月1日から施行される予定です。
減免制度の見直しは、中小企業の皆さんにとっては一つの大きな節目となるでしょう。
改正のポイントをしっかりと理解し、制度の適応をうまく活用していくことが、今後のビジネスにおいて大きな鍵となるはずです。