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ブランド品種で「商標登録されているもの」「されていないもの」がある!?

果物の名前が口にするだけで、甘くジューシーな味わいが思い浮かぶような、そんな魅力的なブランド名。
しかし、その背後には知られざる法律の世界があります。一体どうして「シャインマスカット」は商標登録されていないのでしょうか?
そして、他の有名な果物の品種はどうなのでしょうか?
本記事では、商標と種苗法の複雑な関係を解き明かし、なぜ一部の果物の品種名が商標登録されていないのか、その理由を探ります。
また、ブランド化の成功例として「あまおう」がどのようにして商標登録を受け、市場での地位を確立したのかをみていきます。

この記事を書いた人
弁理士 渡部仁

将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。

まさかあのシャインマスカットが!?

「シャインマスカット」という名称、これは商標登録を受けている名称でしょうか?

商標とは何であるか、という話のおさらいになりますが、商標とは商品の名称のことで、商標登録を受けると他社がその名称を使うことができなくなります。

「シャインマスカット」について商標登録を受けていれば、他社はブドウに「シャインマスカット」の名称を使うことができないのですが…
「シャインマスカット」は商標登録を受けていません。
あれだけ有名なのに、ちょっと不思議な感じがしませんか?

有名な他の品種でも商標登録はまばら

例えば、イチゴの「とちおとめ」。
これも商標登録は受けていません。

一方で、イチゴの「あまおう」。
これは商標登録を受けています。

近年評価の高い岩手リンゴの「純情はるか」も商標登録を受けています。
ミカンの「紅まどんな」は商標登録を受けていますが、イチゴの「紅ほっぺ」は商標登録を受けていません。

また、我らが湘南地方で絶賛売り出し中の「湘南ゴールド」。
これも商標登録を受けていません。

ブランド化にとって落とし穴のルール

なぜこのようなことになっているのでしょう。

果実の品種は、「種苗法」という法律で保護されます。
品種を登録する場合は、品種の名称も一緒に登録します。
ここで登録した名称は、取引の際に品種の普通名称として用いられ、誰でも使える名称になります。

一方、商品の名称である商標は、「商標法」という法律で保護されます。
商標登録を受けた名称は、権利者だけが使える名称になります。

種苗法では誰でも使える名称となるのに対し、商標法では権利者だけが使える名称となるので、同じ名称が両方の法律で登録を受けてしまうと、矛盾が生じることになります。

そこで、両方の法律では一方の法律との調整がルールとして定められています。
すなわち、種苗法では「商標登録を受けている名称は登録できない。」、商標法では「品種登録を受けている名称は登録できない。」というルールです。

この話だけを聞くと、「ああ、なるほどね」と思うのですが、実はこのルールがブランド化にとって大きな落とし穴になっています。

商標登録を受けていない種明かし

先ほどの品種の名称について種なだけに種明かしをしましょう。

「シャインマスカット」「とちおとめ」「紅ほっぺ」「湘南ゴールド」は、品種の名称として種苗法で登録してしまったので商標登録を受けることができませんでした。

これに対し、「あまおう」は、種苗法では「福岡S6号」の名称で登録したので商標登録を受けることができました。
「紅まどんな」は「愛媛果試第28号」の名称で、「純情はるか」は「はるか」の名称でそれぞれ種苗法で登録したので、同様に商標登録を受けることができました。

まとめ

種苗法で一旦名称が登録されてしまうと、後で変更することができません。
普通名称がコロコロ変わってしまうと、みんなが取引に困ってしまうからです。

商標登録を受けていないと、その名称はブランド名として使えません。
ブランド名は自社が独占できてこそその上に自社の価値を乗せることができるのであって、誰でも使えてしまう名称はブランドにはなり得ないからです。

つまり、種苗法で登録された名称は商標法では登録できないルールを事前に知っていたかどうかで、商標登録を受けることができるかどうか、ひいてはブランド名として使えるかどうかの分かれ目がありました。

シャインマスカットは、どんなに有名になっても長い目でみるとブランド名にはならないというわけです。
これに対し、「赤い、丸い、大きい、うまい」の頭文字をとったイチゴの「あまおう」は、商標登録を受けブランド化を成功させた例として有名です。

以下、本記事のまとめです。
・「種苗法で登録された名称は商標法では登録できない」というルールがあり、ブランド化にとって落とし穴となっている。
・このルールを知っているかどうかがブランド化の分かれ目である。
・ブランド名にしたい名称は種苗法で登録してはいけない。

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