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品種の名称を商標登録で保護する意味

こんにちは、弁理士の渡部です。
本日は、シャインマスカットのような品種の名称を商標登録で保護する意味についてお話しします。

種苗法の名称ルールの誤解

種苗法では、品種の名称を登録し、その名称の使い方についてルールが設けられています。
例えば、シャインマスカットには「シャインマスカット」の名称を使用すること、巨峰のようにシャインマスカットとは異なる品種には「シャインマスカット」の名称を使用してはいけないことです。

種苗法で保護されたシャインマスカットは権利者しか育成、販売することができないので、この名称ルールは、「シャインマスカット」の名称も権利者しか使えないような誤解を生むことがあります。

しかし、種苗法の名称ルールは、権利者だけがその名称を使えるようにするものではなく、種苗は外から見ただけでは品種が区別しにくいので、取引の際にみんなが困らないようにシャインマスカットには「シャインマスカット」の名称を使用し、それ以外の品種には「シャインマスカット」の名称を使わないでね、というのが趣旨です。

商標登録を保護しない場合

そこで、3人の登場人物を想定し、この名称ルールを見ていきましょう。
「権利者」、権利者から許諾を受けた「許諾者」、権利者から許諾を受けていない「他社」です。

まず、権利者です。
権利者は、シャインマスカットを育成し、「シャインマスカット」の名称を使ってシャインマスカットを販売することができます。

次に、許諾者です。
許諾者は、シャインマスカットを育成し、「シャインマスカット」の名称を使ってシャインマスカットを販売することができます。

ところが、ここに問題が生じます。
権利者のシャインマスカットは糖度が19度以上あるのに対し、許諾者のシャインマスカットは糖度が16度未満である場合、権利者としては、シャインマスカットがとても甘いというブランドを認知させるため、糖度が19度以上のシャインマスカットにだけ「シャインマスカット」の名称を使ってほしいと思うことがあります。
しかし、種苗法の名称ルールでは、糖度が16度のシャインマスカットでも、シャインマスカットである以上、「シャインマスカット」の名称を使用することに何ら規制を受けることはありません。

したがって、種苗法の名称ルールだけでは、権利者は、シャインマスカットがとても甘いというブランドを「シャインマスカット」の名称とともに消費者に認知させたい、というブランド化の取り組みができないことになります。

最後に、他社です。
他社は、シャインマスカットを育成することができないので、シャインマスカットの販売もできず、名称も使用することはできません。

ところが、ここにも問題があります。
種苗法の登録が30年で切れることです。
登録が切れた場合、他社は、シャインマスカットを育成し、「シャインマスカット」の名称を使ってシャインマスカットを販売することができます。
登録期間中の許諾者と同じ問題が、登録が切れた後に生じることになります。

登録期間中 登録消滅後
商品の販売 名称の使用 商品の販売 名称の使用
権利者の商品
許諾者の商品
他社の商品 × ×

商標登録で保護した場合

これに対し、権利者が「シャインマスカット」について商標登録を受けた場合を考えてみましょう。

まず、権利者です。
権利者は、シャインマスカットを育成し、「シャインマスカット」の名称を使ってシャインマスカットを販売することができます。

次に、許諾者です。
許諾者は、シャインマスカットを育成することはできますが、「シャインマスカット」の名称を使ってシャインマスカットを販売することはできません。
名称の使用については別途権利者から許諾を得る必要があるからです。

先程の例でいうと、権利者は、許諾者に対し、糖度が19度以上のシャインマスカットにだけ「シャインマスカット」の名称を使うなら許諾しますという条件付きで許諾を行えば、シャインマスカットがとても甘いというブランドを「シャインマスカット」の名称とともに消費者に認知させたい、というブランド化の取り組みが実現できます。

最後に、他社です。
他社は、種苗法の登録が切れた後にシャインマスカットを育成することはできますが、名称の使用については許諾者と同じく別途権利者から許諾を得る必要があります。

登録期間中 登録消滅後
商品の販売 名称の使用 商品の販売 名称の使用
権利者の商品
許諾者の商品 × ×
他社の商品 × × ×

商標登録は更新すればずっと保持することができます。
つまり、半永久的に「シャインマスカット」の名称をブランド名として機能するようにコントロールできるわけです。

種苗法でどのように名称を登録をすべきか

では、商標登録を受けるために、種苗法でどのように名称を登録すればよいでしょうか。

これらは「あまおう」の事例が参考になります。
「あまおう」は、種苗法では「福岡S6号」の名称で登録したので商標登録を受けることができました。
「紅まどんな」は「愛媛果試第28号」の名称で、「純情はるか」は「はるか」の名称でそれぞれ種苗法で登録したので、同様に商標登録を受けることができました。

このように「あまおう」「紅まどんな」「純情はるか」のようなブランド名ではない名称を種苗法で登録することです。

まとめ

以下、本記事のまとめです。
・種苗法の名称ルールは権利者だけが名称を使えるという誤解を生みやすい。しかし、この名称ルールは取引の混乱を防止するためのものである。
・商標登録を受けていないと、糖度が19度以上のシャインマスカットにだけ「シャインマスカット」の名称を使ってほしいというように商品の品質をコントールできない。商品の品質をコントロールすることはブランド化において必須である。
・種苗法では、ブランド名ではない名称を登録する。

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