おはようございます。
弁理士の渡部です。
商標登録出願を行う際には、「商標区分」とその「使用役務・サービス」を指定して出願します。
本日は、この商標区分についてのお話です。
商標区分は非常に細かく分類されています。
そして、商標登録を行う場合には「実際に販売している商品やサービス」を指定しないと、取得した商標が意味のないものとなってしまう場合があります。
出願の際にはここに注意が必要で、自社の事業内容について出願前に専門家ときちんと打ち合わせをすることをお勧めします。
例えば。
あるところに●●魚市場がありました。
採れたての新鮮な魚や貝、海草などを扱っています。
さらに自社で干物や加工品を作って販売したり、新鮮なネタを活用して持ち帰りように寿司なども並べるなど、商材を広く生かした事業展開を行っています。大変に評判が良く、ネットでもしばしば取り上げられるようになりました。
そこで、自社で扱っている商品をブランド化するために、商標登録をすることにしました。
この魚市場のように、商品として魚介類を広く扱う場合、どの区分を指定すれば良いでしょうか。
魚介類が含まれる商標区分は下記の通りとなります。
第29類 食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物
第30類 寿司
第31類 生きている食料魚介類,海藻類
なにか気になりませんか。
29類に生きている物を除く食用魚介類があります。
31類には生きている食料魚介類があります。
「生きている」と「生きていない」魚介類。どのように使い分けたら良いでしょうか。
ちょっと混乱してしまいますね。
さらに29類には加工水産物があります。もし干物や蒲鉾などを販売するのであれば、こちらも必須です。
気を付けていただきたいのは、出願時の区分に抜けがあると、その区分の名称だけ他社に持って行かれてしまう場合があるということです。
例えば上記の例で、「食料魚介類、食料魚介類、2種類あるけど違いがよく分からない。海草類も扱っているし、生きている方が新鮮そうでいいから、「31類で『●●魚市場』を商標登録しよう!」」と31類だけを出願して、安心してしまったとします。
すると、どんなリスクが発生するでしょうか。
「●●魚市場」はとても美味しいと評判なので、他社がこれにただ乗りしようとするかもしれません。
このとき上記のような出願では、31類以外の商品について「商標による保護を受けられなくなってしまう」のです。
例えば、29類の食用魚介類(生きているものを除く。),水産加工物、30類の寿司を他の会社が商標登録して、「●●魚市場」で干物や寿司を販売してしまうのです。
消費者は間違って、この他社製品を「●●魚市場」の商品だと思い込み、購入してしまうことになります。
そればかりか、本家の「●●魚市場」は、干物や寿司については名称の変更を求められ、せっかく培った信頼と評判のあるブランド名を使用できなくなってしまうこともあるのです。
大切なことなので、もう一度お伝えします。
商標登録の際には、区分の間違えや漏れがないように、出願前にきちんと事業内容を踏まえた相談をし、その上で御社に最適な出願の方法をアドバイスしてくれる弁理士に相談することをお勧めします。