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審判登録率

おはようございます。
弁理士の渡部です。


商標は出願すると、まず、商標登録できるかどうかについて「審査」(しんさ)が行われます。「審査」は、1人の審査官が行います。


「審査」において商標登録をすることができないと判断されると、拒絶査定を受けることになります。


しかし、審査官の認定が妥当ではなく拒絶査定に不服がある場合は、「審査」の上級審である「審判」(しんぱん)を請求することができます。


「審判」が請求されると、商標登録できるかどうかについて再度見直しが行われます。「審判」は、3~5人の審判官が優れた知識と豊富な経験に基づいて行うので、より妥当性のある結論が得られます。


ここで、審判登録率とは、「審査」で拒絶査定を受けたがこれを不服として「審判」を請求し、「審判」で結論が覆り商標登録となった割合のことです。


では、審判登録率は、どれぐらいなのでしょうか。


特許庁の統計資料によれば、次のとおりです。


2006年 74%
2007年 80%
2008年 77%
2009年 60%
2010年 61%
2011年 68%
--------------------
平均    72%


一見すると、驚きの数字ではないでしょうか。


「審査」での判断が72%以上も間違っているという結果にも見えます。


しかし、ここは特許庁の名誉のために説明を加えないと誤解を与えてしまいます。


「審査」で拒絶査定を受けた人が全員「審判」を請求するわけではなく、審査官の認定が妥当だと判断した人や商標登録を諦めた人は、「審判」を請求しません。


「審判」には時間も費用もかかりますので、「審判」を請求する場合は、主に、商標登録できるかどうかボーダーな事件ということになります。


つまり、「審判」での判断の間違いを論じるには、「審判」を請求した人の割合も示しておかないと、フェアではありません。


特許庁の統計資料によれば、次のとおりです。


2006年  8%
2007年  7%
2008年  4%
2009年  9%
2010年  7%
2011年 12%
--------------------
平均     7%


以上をまとめると、「審査」で拒絶査定を受けたがこれを不服として「審判」を請求する割合が7%、このうち結論が覆り商標登録となった割合が72%なので、「審査」での判断が間違っていた表面上の割合は、7%×72%=5%程度ということです。


「審判」を請求しなかった件数に、「審査」での判断が間違っていた件数がどれぐらい含まれているかは分からないので、「表面上」としました。





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