皆さんは、「商標登録」という言葉に聞き覚えはありますか?
商標登録は、自分の商品やサービスの名前を守るための大切な権利です。
しかし、ちょっとした油断で、せっかく築き上げたブランドを台無しにしてしまう可能性もあるのです。
本記事では、誰もが知っておきたい「ざんねんな商標登録」の事例と、その教訓についてご紹介します。
将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。
「シルバーヴィラ」の商標登録
兵庫県で運営されていた介護施設「シルバーヴィラ揖保川」は、東京の会社によって「シルバーヴィラ」という商標登録が取得されていたことを知らずに営業していました。
その後、東京の会社から商標権侵害で訴訟を起こされ、介護施設側は、名称変更と約600万円の損害賠償を支払うことを余儀なくされました。
なぜこのようなことが起こってしまったのか?
この事例では、介護施設側が以下の点に注意していれば、悲劇を防ぐことができた可能性があります。
商標調査を怠っていた
事前に商標調査を行っていれば、東京の会社がすでに「シルバーヴィラ」という商標登録を取得していることが分かり、別の名称を選ぶことができたでしょう。
類似商標の調査が必要だった
「揖保川」は、兵庫県の有名な河川の名称なので商標として弱い言葉です。
そのため、他社の商標にこれを組み合わせた「シルバーヴィラ揖保川」という商標登録出願を行ったとしても、登録が認められず、東京の会社から類似商標として訴訟を起こされる可能性があったのです。
類似の可能性がある「シルバーヴィラ」についても調査を行う必要がありました。
幅広い範囲の調査が必要だった
「シルバーヴィラ」という商標は、介護施設以外にも、ホテルや住宅など幅広い分野で使用されています。
そのため、介護サービスの分野だけでなく、自社が「シルバーヴィラ揖保川」を使用する商品やサービスについて漏れなく商標調査を行う必要がありました。
残念な商標登録を防ぐためのポイント
この事例を教訓として、以下のような点に注意して商標登録の対策を進めることが重要です。
弁理士に相談する
商標登録は専門知識が必要な分野です。
弁理士に相談することで、適切なアドバイスを受けることができます。
事前に商標調査を行う
自分の商標がすでに登録されていないかどうか、類似商標がないかどうかを調査しましょう。
J-PlatPatなど商標検索サービスを活用することができます。
商標は早めに登録する
商標登録は、出願してから登録までに時間がかかる場合があります。
早めに準備を進めましょう。
商標は独創性のあるを
商標にありふれた文字を加えても、類似商標であると判断される可能性が高くなります。
全体として独創性がある商標を考えましょう。
何が独創性かの判断は難しい場合もあるので弁理士に相談してみてください。
商標は適切な区分で登録する
商標は、使用する商品やサービスの区分ごとに登録する必要があります。
適切な区分で登録することで、必要な範囲を保護することができます。
まとめ
商標登録は、ブランドを守るために重要な手段です。
しかし、知識不足によって、思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。
本記事を参考に、しっかりと準備を進めて、残念な商標登録を防ぎましょう。
事業成功の心得
・弁理士に相談
・事前に商標調査を実施
・商標は早めに登録
・商標は独創性のあるものを採用
・商標は適切な区分で登録