爪切りは、誰もが日常的に使う生活用品です。
しかし、爪が飛び散ったり、深爪したり、二枚爪になったりと、ちょっとしたストレスを感じることありませんか?
松本金型社が開発した「切らないつめきり」は、そんな爪切りの悩みを解決するユニークな製品です。
本記事では、松本金型社の創業から「切らないつめきり」の開発秘話、そして成功の要因をご紹介します。
製品開発に挑戦したい中小企業にとって、参考となるヒントがきっと見つかります。
将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。
精密金型技術が生んだ「切らないつめきり」
松本金型社は、自動車部品の金型メーカーとして創業しました。
しかし、リーマンショックをきっかけに製品開発に挑み、精密金型技術を活かして「切らないつめきり」を開発しました。
従来の爪切りのように爪を切るのではなく、削って整える画期的な製品です。
自社製品開発への挑戦
最初の製品は「みみごこち」という耳かきでした。
金型技術を活かした柔らかい使い心地で話題になりましたが、販路開拓には苦労しました。
そこで営業やマーケティングを学び、事業部を新設して体制を整えました。
ヒット商品を生み出した3つのポイント
「切らないつめきり」のヒットには、以下の4つのポイントが挙げられます。
独自の技術
「切らないつめきり」の最大の特徴は、松本金型社が長年培ってきた精密金型技術を活かした独自の刃にあります。
従来の爪切りのように爪を挟んで切るのではなく、0.03mm間隔で300枚並んだ刃で削り取ることで、爪を切る際の衝撃や痛みを軽減し、二枚爪や深爪を防ぎます。
さらに、刃の角度や形状は、爪の削りやすさを追求して設計されており、誰でも簡単に爪を整えることができます。
また、本体内部に爪粉が溜まる構造になっているため、使用後の掃除も簡単です。
顧客ニーズへの徹底的な追求
松本金型社は、製品開発において顧客ニーズを徹底的に追求しました。
・安全性
刃が飛び出す心配がない構造にすることで、小さなお子様でも安心して使用できます。
・使いやすさ
手にフィットする形状と軽量設計で、長時間使用しても疲れにくい設計になっています。
・デザイン性
鮮やかなカラーバリエーションとスタイリッシュなデザインは、ターゲット層である幅広い年齢層に受け入れられています。
さらに、右利き・左利きどちらでも使いやすいように、両手で使える設計にするなど、細部まで顧客ニーズに配慮した製品開発を行っています。
ブランド戦略
「切らないつめきり」は、「魔法のつめけずり」というブランド名で認知度を向上しました。
「切らないつめきり」のヒットには、製品そのもののよさだけでなく、「魔法のつめけずり」というブランド名も大きく貢献しています。
「魔法のつめけずり」というネーミングは、従来の爪切りとは異なる画期的な製品の特徴を分かりやすく表現しています。
親しみやすく覚えやすい名前は、消費者の心に残りやすく、口コミやリピート購入にもつながっています。
「魔法のつめけずり」というブランド名は、単なる製品名ではなく、松本金型社の「ものづくり」への情熱と、顧客ニーズへの徹底的な追求を体現するものです。
ブランディングに最適なブランド名と商標登録を検討したい方はこちらをご参照ください。
ブランド名制作&商標登録サービス
知財戦略
模倣されやすいヘルスケア製品だからこそ、松本金型社は、特許、商標登録、意匠登録などの知財戦略を積極的に活用しています。
特許については、独自の刃の構造や形状に関する特許を取得することで、競合企業による模倣を防いでいます。
商標登録については、「魔法のつめけずり」というブランド名を商標登録することでブランドを守り、顧客の信頼を獲得しています。
意匠登録については、コロナ禍で開発したフェイスシールドで初の登録を取得しました。
これらの知財戦略は、松本金型社の技術、ブランド、デザインを守り、競争優位性を維持する上で重要な役割を果たしています。
松本金型社は、「ものづくり」への情熱を持ち続け、新しい機能を持つ製品を開発し続けています。
まとめ
松本金型社は、精密金型技術と「ものづくり」への情熱を活かして、「切らないつめきり」というヒット商品を生み出しました。
製品開発に挑戦する中小企業にとって、同社の取り組みは参考となるでしょう。