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商標権侵害で御用!「ピーポくん」の偽造名刺を作った末路

警察のマスコット「ピーポくん」を巡る一風変わった事件が、商標権侵害の逮捕劇として注目を集めています。
一見すると、愛らしいキャラクターの名刺が何故法的な問題を引き起こすのか、その背後にはどのような法的な複雑性が隠されているのでしょうか。
本記事では、警察官を装うために偽造された「ピーポくん」の名刺が、なぜ商標権侵害として扱われたのか、そしてその意図と法的な影響について掘り下げていきます。
商標権侵害という罪には重い罰則があり、その適用範囲は一般的な認識とは異なる場合があります。
この事件を通じて、商標権の保護とその法的な境界について新たな視点を提供します。

この記事を書いた人
弁理士 渡部仁

将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。

「ピーポくん」の名刺でなりすまし

「ピーポくん」。
ピープルのピーと、ポリスのポから、名付けられた警視庁のマスコットです。
サイレンの音じゃないですよ。
大体において、ピーポーは救急車ですし。

さて、11月16日に、愛知県警は、このピーポくんの図柄がプリントされた名刺を販売しようとした、香川県の会社員を商標権侵害で逮捕したと発表しました。
容疑者が販売しようとしていたのはこの名刺。名刺に書かれた氏名は実在の警察官だそうです。
鉄道グッズが好きとか、警察グッズが好きとか、そういう需要はありますが、これは、そういうのとは違って、危険な物(ブツ)であるのが一目で分かります。

どうして商標権侵害なの!?

ただ、逮捕の理由が「商標権侵害なのか~」と、思いませんでしたか?
商標権侵害というと、ルイビトンなど有名なブランド名を使った模倣品の販売などが典型です。
商標法の目的は、他社の商標を使った模倣品が市場に出回ると消費者が間違って模倣品を購入し困ってしまう、これを防止することです。
そのため、容疑者がピーポくんを使った商品をピーポファンに売りまくって、ピーポファンが困り、商標権を持つ企業の信用がた落ち、みたいな状況こそ商標権の出番ですが、今回の事件のように、反社会的行為の防止に商標権侵害が使われるのは何か少し違うという印象があるのではないでしょうか。
今回の事件において、容疑者はピーポくんの知名度に利用して不正の利益を得ようとしていたというより、「警察官になりすます」目的が推測できるのがブラックな感じです。

警察官の名刺偽造については公印偽造罪として書類送検された事件や、偽造名刺を使いお金をだまし取った容疑者について詐欺罪が成立した事件がありますが、公印偽造罪には「行使の目的」がなければダメですし、詐欺罪は「名刺を使ってお金をだまし取った」という事実が必要です。
今回の事件のように「警察官の名刺を作った」という段階でこれらの罪で容疑者を逮捕するのは難しかったと思います。

商標権侵害の痛恨の罰則

一方で、商標権侵害は、故意に他社の商標権を侵害すれば成立します。
故意かどうかの問題、要するに「わざとやった」という点の立証という点でハードルはありますが、警察としては使いやすい法律といえるかもしれません。

容疑者は、ピーポくんの名刺の他に、暴力団グッズを大量に販売しており、その行為によって既に逮捕されていました。
今回の商標権侵害による逮捕は再逮捕にあたります。
容疑者の事業は暴力団の資金源となっていた疑いがかけられており、警察としては容疑者の行為を軽視できなかったため「商標権侵害」というロジックを持ち出してきたわけです。

商標権侵害罪は「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金」。法人の場合は「3億円以下の罰金」とされており、かなり重たい罰則となってます。
さらに、商標権侵害は非親告罪であり、商標権を持つ企業が訴えなくても警察が独自に容疑者を逮捕し裁判にかけることができます。

故意の駆け引き

商標権侵害の疑いがある場合、通常相手方に警告を行いますが、この警告があった後は、「わざとやった」ことではないと主張しにくくなります。
皆様も、商標権侵害の警告があった場合はくれぐれもご注意ください。

さらにいうと、ルイビトンのような誰でも知っているような超有名なブランド名については、事前の警告がなくても、「わざとやった」ことではないと主張することが難しくなります。

まとめ

以下、本記事のまとめです。
・キャラクターや名前を使う行為には意外なところにも商標権侵害の危険性が潜んでいる。
・商標権侵害罪には痛恨の罰則が待っている。
・商標権侵害罪には「わざとやった」ことが必要であるが、警告を受けたら言い訳はできない。

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