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「たけのこの里」あの形に商標登録が!?42年の時を経て勝ち取ったわけ

商標登録の世界で起きた驚きの出来事、明治製菓の「たけのこの里」がどのようにしてその独特の形状で商標登録を勝ち取ったのか、その舞台裏をお伝えします。
42年の長い時を経て、このチョコレート菓子が立体商標として認められたのは、単なる偶然ではありません。
この記事では、その過程と、商標登録がなぜ「特例的なもの」とされたのかを掘り下げていきます。
さらに、商品の形状が通常どのように保護されるか、そして「たけのこの里」のケースが他の例とどう異なるのかについても解説します。

この記事を書いた人
弁理士 渡部仁

将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。

驚くべき立体商標が成立

2021年、明治製菓の「たけのこの里」について立体商標の商標登録が認められ、年末に特許庁のtwitterで、この商標登録が「特例的なもの」であるとのツイートがされました。

立体商標とは、文字通り立体的な商標です。
例えば、ケンタッキー・フライド・チキンのカーネルサンダース人形をイメージしていただくとよいかと思います。

商標というと、普通は店名、商品名、ロゴマークなどですけど、ケンタッキーとはまったく関係のないお店が、カーネルサンダース人形を店頭に出してチキンを売ってたら紛らわしいですね。
なので、お店や商品を表す立体的な物について「立体商標」として商標登録を受けられるようにしているのです。

何が「特例的なもの」なの?

このたび、明治製菓が商標登録を受けた「たけのこの里」の立体商標は、タケノコの形をしたチョコレート菓子のあの形です。
みんな大好きたけのこの里。

さて、この商標登録は何が「特例的なもの」なのでしょう。
カーネルサンダース人形と何が違うのでしょうか。

決定的な違いは、カーネルサンダース人形は「商品」でなく、たけのこの里は「商品」だ、ということです。

商品の形は通常、意匠登録で保護

商品の「特徴的なデザイン」というのは、当然保護されるべきものですが、商標登録ではなく「意匠登録」で保護されるべきものとされています。

意匠登録とは、服のデザイン、車のデザイン、スマホのデザイン、お菓子のデザインなど、製品のデザインを保護する制度で、新しいデザインを開発した企業に対し、25年という期間を決めて、そのデザインを独占することを認めています。

商標登録と意匠登録は、他社がマネしたときに、その行為をやめさせることができるという点で同じ効力がありますが、意匠登録は、製品のデザインが「新しいもの」でなければならず、しかも25年で権利が終わってしまうのに対し、商標登録は、商品の形が新しいことは不要で、更新により半永久的に権利を維持することができます。

商標登録だと困ることがいっぱい

さて、「たけのこの里」に話を戻しますが、「たけのこの里」のような、商品の形について簡単に商標登録を認めてしまったら、大変なことになります。

どういうことかというと、何でもかんでも立体商標の商標登録を認めてしまえば、更新によりずっと権利を維持できるので、他社がその形の商品を作ることが半永久的に不可能になってしまいます。
「たけのこの里」の例でいえば、もし他社がタケノコの形のお菓子を作りたい場合、意匠登録なら25年待てば作れますが、商標登録だといつまで待っても作れないというわけです。

また、商標登録を取得するのに商品の形は新しくなくてもよいので、他社が既に販売し好評となっている商品の形について立体商標の商標登録を受けて自分の権利としてしまうという不正な行為が行われるかもしれません。
「たけのこの里」の例でいえば、もし明治製菓以外の企業がタケノコの形のお菓子について先に商標登録を受けてしまったら、明治製菓は、先に販売し商品の形で好評を受けていても、商品の形を変えなければならない場合が出てきます。

全国的に有名であることが必要

このため、立体商標は通常、商品の形については商標登録が認められません。
特例として、その形が「全国的に有名である」ことを証明した場合のみ商標登録が認められる取り扱いになっています。
しかし、この証明はとても難易度が高く、いままで認められたものはキューピー人形、コカ・コーラの瓶、ヤクルトの瓶など、皆さんも言葉を聞いただけでパッと頭に浮かんでくるような極めて有名な形に限られています。

1979年に販売が開始された「たけのこの里」について、42年の時を経て2021年に商標登録が認められたというのは、全国的に有名になる状況ができるまでには、それだけの長い時間が必要だったということです。

ただ、近年は、商品の形について商標登録のハードルがやや緩やかになってきているようです。
明治製菓でいうと、「たけのこの里」の前に「きのこの山」についても商標登録が認められています。

商品の形は難しいかもしれませんが、カーネルサンダース人形やペコちゃん人形など、お店や商品を表す立体的な物について商標登録の取得をご検討の方は一度専門家にご相談ください。

まとめ

以下、本記事のまとめです。
・「立体商標」とは、立体的な物について商標登録を認める制度である。
・しかし、立体的な物といっても、商品の形については、通常、商標登録は認められない。
・「たけのこの里」の商標登録は、「全国的に有名である」ことを証明し、例外的に認められたものである。

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