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お菓子からイヤホンへ、愛されるブランド「きのこの山」の革新的な進化

日々の生活に息抜きを与えるお菓子の力は大きいものがありますが、その中でも特に愛されているのが、「きのこの山」ではないでしょうか。
根強いファンを持つこれらのお菓子ですが、まさかのワイヤレスイヤホンとして生まれ変わり、大きな話題を集めています。
2024年3月26日の発売と同時に完売し、SNSでは購入できなかった人たちの嘆きの声も多く見受けられました。
今回の商品化は、どのような背景があったのか、また、明治社のブランディングにどのように貢献しているのかを見ていきましょう。

この記事を書いた人
弁理士 渡部仁

将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。

イヤホン発売の経緯

誰もが知る「きのこの山」から、思いがけないアイデア商品が誕生した瞬間、ネットは大いに沸きました。
メーカーがSNSで公開したコンセプトアートに対する熱烈な支持が、実際の商品開発に至る流れを作り出しました。
お茶目でユニークなこの試みは、単なる販売戦略以上のものを社会に投げかけています。
多くの声が高まったことで約7か月の開発期間を経て、機能性だけでなく、愛着を感じさせるデザインのワイヤレスイヤホンが誕生したのです。

「きのこの山」ワイヤレスイヤホン 引用:Yahoo!ニュース、日テレNEWS NNN

「きのこの山」のブランド力

「きのこの山」といえば、その可愛らしい形状と美味しさで、日本国内はもちろん、海外にもファンが多いことで知られています。
1975年の誕生を皮切りに、きのこの山は、日本のお菓子市場で大ヒットを記録してきました。
そのブランド力には、さまざまな要素が詰まっています。

まず、きのこの山が生まれた背景には、明治社の「アポロ」と同じ製造ラインで作れるお菓子を模索したことがあります。
当時、日本は高度経済成長期であり、多くの人々が豊かさを追求していました。
その中で、きのこの山は日本人の幸せのかたちを表現したお菓子として注目を浴びました。
愛らしい見た目と小粒のサイズ感も、きのこの山の魅力のひとつです。
他社のお菓子が大型化し、迫力のあるパッケージを持つ中で、きのこの山はそのシンプルさが人々に訴えかけました。
そして、数度のモデルチェンジを経ながらも、パッケージの色や雰囲気のベースは変えずに今も愛され続けています。

2018年3月には、きのこの山が立体商標として登録されました。
商品の形状が立体商標として登録が認められるには審査のハードルがとても高いのですが、きのこの山は、その知名度の高さにより登録が認められました。
当時東京と大阪で実施したアンケートでは、約90%の知名度が得られたそうです。
つまり、きのこの山を写した写真を見せて「これは何でしょうか?」という問いに対し、約90%の方が明治社の「きのこの山」と認識できたという結果です。
驚く知名度ですね。

明治社は、立体商標の登録をPRとして活用し様々なプロモーションを展開していきます。
その結果、きのこの山の知名度がさらに高まりました。
また、知的財産権の成立(=立体商標の登録)が世論を動かすような珍しいケースとなり、立体商標制度を知る消費者も増えたということです。

きのこの山が立体商標として保護されるまでに至った経緯は、ただのお菓子にとどまらず、文化的アイコンとしての地位を確立しています。
明治社のブランドとしての歴史を紐解く上で、これほどまでに愛され続ける秘訣を探ることは、中小企業にとっても参考になるでしょう。
何十年と受け継がれるブランド価値の維持・発展は、多くの事業にとって重要な課題です。

SNSを活用した攻めのブランディング

SNSが一般化した現代において、明治社が巧みにプラットフォームを利用し、新たな商品を市場に投入していく手法は見事といえます。
ワイヤレスイヤホンの商品化だけでなく、きのこの山に関連する様々なお茶目なキャンペーンを行うことで、ブランドの新鮮さを保ちつつ、話題性を生み出しています。
これは、中小企業が取り組むべきブランディングのよい例ともいえるでしょう。

まとめ

長い時間をかけて育まれてきた「きのこの山」のブランド価値が、ワイヤレスイヤホンという新しい形で再度脚光を浴びる事例は、非常に興味深いものです。
イヤホンはわずか数分で完売となりましたが、これは単に商品が人気だったということ以上に、企業が築き上げてきたブランドへの信頼と愛着の現れでしょう。
中小企業にとっても、お客様の心を掴むためには、商品の品質だけでなく、その背景にある物語やブランドのアイデンティティを大切にすることの大切さを、改めて認識するきっかけになったのではないでしょうか。
今後も、明治社の、いえ「きのこの山」の、消費者の心をつかむための斬新なアプローチに期待したいと思います。

きのこの山について解説したブログ記事です。こちらもよろしければご参照ください。
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姉妹品「タケノコの里」の立体商標について解説したブログ記事です。こちらもよろしければご参照ください。
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