AIで作ったロゴを見るとき、多くの場合、かなり大きく表示されています。
大きくすると、きれいです。
- 細い線も見える。
- 微妙なグラデーションも見える。
- 小さな装飾も効いている。
そこで、少し条件を変えてみます。
24pxにする。
すると、それまで魅力だと思っていたものが急に消えることがあります。
今回は、AIで作ったロゴがブランドマークとして機能するかを考えるために、難しい理論ではなく、まず小さくしてみます。
将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。
目次
大きな画像では、いろいろなものが見えている
今の画像生成AIでロゴ案を作ると、大きな画面ではかなり魅力的に見えるものも出てきます。
ロゴ案も、大きく表示すれば細かな造形までよく見えます。
- 二本の線のわずかなずれ。
- 円の一部に入った細い切れ込み。
- 色が微妙に変化するグラデーション。
そうしたディテールが全体の印象を作っていることがあります。
でも、ブランドマークは大きな画面だけで使われるわけではありません。
Webサイトのヘッダー、スマートフォン、メール、SNSのプロフィール画像。
小さく表示される場面もあります。
そこで、いったん24pxくらいまで縮小してみます。
24pxにすると、何が消えるか
24pxは、「ここで見分けられなければ失格」という基準ではありません。
小さな表示環境を簡単に再現するための、ひとつのストレステストです。
縮小すると、大きな画像では見えていたものが落ちていきます。
- 細い線が消える。
- 小さな隙間がつぶれる。
- 切れ込みが分からなくなる。
- 複数のパーツが一つの塊に見える。
逆に、残るものもあります。
- 外形。
- 大きな余白。
- 特徴的な欠け。
- 強いシルエット。
- 大きなパーツ同士の位置関係。
ここまで小さくすると、そのロゴの特徴が形そのものにあるのか、それとも大きく表示したときの装飾に頼っていたのかが見えやすくなります。
BIMIでも、小さく表示されることが前提になっている
メールでブランドロゴを表示する仕組みに、BIMI(Brand Indicators for Message Identification)があります。
BIMIではSVG形式のロゴが使われますが、メールクライアントによって小さく表示されることを踏まえ、さまざまな大きさで表示を確認することが推奨されています。小さなサイズでも認識しやすいよう、細かすぎるディテールや細い線を避けるという考え方です。
もちろん、BIMIが「すべての企業ロゴは24pxでなければならない」と定めているわけではありません。
ここで参考になるのは規格値ではなく、実際に使われる小さな環境でもブランドとして認識できるかを見るという発想です。
色も取ってみる
もう一つ、簡単にできるテストがあります。
色を取ってみる。
白黒や単色にすると、それまで印象的だったロゴが急に普通になることがあります。
例えば、グラデーションを取ったら、残るのはよくある円形だった。
そうであれば、そのロゴらしさのかなりの部分を色が担っていたことが分かります。
もちろん、色もブランドを構成する重要な要素です。
ただ、
色を取ったら何が残るのか。
は見ておいた方がよいと思います。
背景も変えてみる
白い背景で見ていたロゴを、黒い背景にも置いてみます。
さらに、円形のアイコンの中へ入れてみる。
すると、背景とのコントラストが弱くなったり、外形が枠と干渉したり、端の特徴が切れたりします。
ブランドマークは、実際には一つの表示条件だけで使われるとは限りません。
Web、SNS、印刷など、用途によって背景も大きさも変わります。印刷、刺繍、刻印などでは、表現できる細かさそのものも変わります。
だから、一番きれいに見える条件だけで評価するのは少し危ない。
条件を変えたとき、何を残せばそのブランドだと分かるのか
- 24pxにする。
- 色を取る。
- 背景を変える。
- 円形の中に入れる。
条件を変えると、装飾が少しずつ落ちていきます。
そこで最後に何が残るのか。
- グラデーションがなくても。
- 細かな質感がなくても。
- 大きく表示されなくても。
そのブランドだと分かるものが残っているか。
もちろん、小さいサイズ用に簡略版を用意したり、用途ごとにロゴを使い分けたりすることはできます。
それでも、何を残せばそのブランドとして認識できるのかは、最初の段階で見ておいた方がよいと思います。
まず、小さくしてみる
AIでロゴ案が出てきたら、まず小さくしてみる。
24pxは万能な基準ではありません。
でも、大きな画面では魅力的だったロゴから細部を取り去ったとき、何が残るのかを見るには簡単な方法です。
「この画像はきれいか」ではなく、
「何を取り去っても、そのブランドだと分かるか」。
大きな画像のままでは分からなければ、まず24pxにしてみる。
案外、それだけで見えてくるものがあります。
本シリーズのブログ記事です。こちらもよろしければご参照ください。
・AIで作ったロゴは、本当に「気持ち悪い」のか
・上手なのに、覚えられない――AIロゴで気になる「平均化」
・「似ていない」と「違って見える」は同じではない――商標とブランドの距離
