AIロゴをブランドとして考える[6/8]
AIでロゴが完成した。
図形と社名がきれいに組み合わさっている。
では、この完成画像をそのまま一件、商標登録すればよいのでしょうか。
AIでロゴを作ると、まず「完成した一枚の画像」が手元に残ります。
しかし、デザインとして一枚にまとまっていることと、商標として何を一つの単位で権利化するかは、同じ問題ではありません。
ここで一度、完成したロゴを分けて考えてみます。
例えば、社名が「ABC」で、独立した図形があり、完成したロゴが「図形+ABC」だったとします。
完成したロゴは一枚でも、商標として何を出願するかは別に考える必要があります。
将星国際特許事務所、所長。ブランド・マネージャーの資格を持ち、中小企業のブランディングと商標登録の支援に数多く携わっている。特許はAI、IT、ビジネスモデルを専門とする。講演活動も積極的に行っており、神奈川県優良産業人表彰を受賞している。
目次
一枚のロゴでも、使い方は一つではない
- Webサイトでは「図形+ABC」の結合ロゴを使う。
- SNSのアイコンでは、図形だけを使う。
- サービス画面や営業資料では、「ABC」という文字だけを表示する。
こうした使い分けは十分に考えられます。
そのため、商標登録を検討するときは、完成画像だけでなく、
- 今後、どの形を独立して使うのか。
- どの要素を継続して使うのか。
- どの部分を独立して守る必要があるのか。
という実際の使い方まで見ておく必要があります。
商標出願では「何を一つの商標とするか」を決める
一件の商標出願では一つの商標を出願する「一商標一出願」が原則です。
例えば、
- 「ABC」という文字。
- 図形。
- 「図形+ABC」という結合ロゴ。
これらをそれぞれ独立した商標として出願するのであれば、それぞれ別の出願として考えることになります。
結合ロゴを一件出願したからといって、その中の文字と図形を、それぞれ独立した商標として出願したことになるわけではありません。
もちろん、登録した結合ロゴと文字単独や図形単独との間で、商標権の効力が及ぶかどうかが問題になる場合はあります。
ただし、それは個別の類否判断になります。
そのため、「結合ロゴを登録しておけば、その中の文字と図形も単独ですべて押さえられる」と考えるのは適切ではありません。
文字、図形、組合せのどれを守るのか
では、どの形を出願すればよいのでしょうか。
一つの正解が決まっているわけではありません。
「ABC」という文字を単独で継続して使うのであれば、文字だけを一つの商標として出願することが検討対象になります。
SNSやアプリなどで図形を単独で使うのであれば、その図形を独立して出願する意味があるかもしれません。
一方、文字と図形を常に一体として使い、その組合せ自体をブランドの中心とするのであれば、結合ロゴの重要性が高くなります。
大切なのは、
- 文字なのか。
- 図形なのか。
- その組合せなのか。
ということを、実際の使い方との関係で整理することです。
「登録できるか」の前に、「何を登録するか」
商標登録では、「この商標は登録できるか」という登録可能性の確認が必要です。
ただ、その前提として、
「何について登録可能性を確認するのか」
を決める必要があります。
- 文字だけなのか。
- 図形だけなのか。
- その組合せなのか。
まず商標として検討する単位を整理し、その上で、それぞれについて登録可能性を確認します。
「登録できるか」と「何を登録するか」は、別の問いです。
広く権利を取ること自体を目的にするのではなく、実際に何を使い、何を守る必要があるのかとの関係で考える。
その方が、出願の優先順位も整理しやすくなります。
今だけでなく、これからの使い方を見る
商標は、登録した後も事業の中で継続して使っていくものです。
今はWebサイトで結合ロゴだけを使っていても、将来はSNSやアプリで図形だけを使うかもしれません。
事業の展開に合わせて、文字と図形の組合せを変えることも考えられます。
そのため、現在の完成画像だけを見て出願を決めるのではなく、
「これから、どの形で使う可能性があるのか」
まで少し考えておく意味があります。
一方で、文字、図形、結合ロゴをすべて別々に出願すれば、その分だけ出願や管理の負担も増えます。
だからこそ、独立して使う可能性やブランド上の重要度を見ながら、優先順位を付けることになります。
完成画像ではなく、使い方から考える
AIでロゴが完成したら、その一枚をそのまま商標出願する前に、
- 文字。
- 図形。
- その組合せ。
を一度分けて考えてみます。
そして、それぞれを今後どのように使うのかを見る。
完成したロゴと、登録する商標は必ずしも同じではありません。
商標登録では、完成画像をそのまま受け取るのではなく、実際に何を使い、何を守りたいのかへ戻って考える必要があります。
ロゴを作る段階から、どの形で使い、どの形を守るのかを少し意識しておくと、その後の商標登録も整理しやすくなります。
本シリーズのブログ記事です。こちらもよろしければご参照ください。
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